食・農業
塩にぎりでわかる伊野米の味
伊野の自慢は美味しいお米と、伊野の農業を守る農業者の活動。粘土質の棚田で栽培するお米の味は絶品。ホタルが乱舞する伊野川の水と農業者の情熱が全国の有名ブランド米にひけをとらない美味しさをつくりあげています。塩にぎりにして食べていただくとその美味しさをわかっていただけるでしょう。
農業の課題
中山間地域の例に洩れず、農業者の高齢化が進んでおり、後継者不足が深刻になっています。
水田所有者が米づくりをしなくなったので、大規模農家等に土地を貸し出しています。数軒の大規模農家が伊野の水田面積の約半分を請け負っています。残り半分を自力で耕作している高齢農業者の中には、「米づくりを近い将来やめたい」と考えている人が大勢います。そうなると、大型機械が入らない小さな田んぼは耕作放棄され、雑草や木がおいしげることになります。
担い手育成や耕作放棄地対策、シカやイノシシ等有害獣対策、特産品開発、高齢農業者の生きがい対策などが重要な課題となっています。
伊野いち
伊野の農業を発展させるため、2014年から、産地直売所「伊野いち」を年2回(6月と10月)開催しています。海・湖、田畑・山の鮮度抜群の食材に加え、しぼ入りちまきや漬物などの伝統食、山野草やメダカ・中西製茶のとうげん冷茶など豊富な商品がそろうので大勢のお客様がおしかけます。お客様にとって、もうひとつの魅力は「おもてなしコーナー」でおにぎりやぜんざい、しじみ汁、漬物など、ベテラン主婦たちがつくった料理を食しながら交流することです。
伊野小学校の子どもたちも参加します。客の呼び込みや接待、自分たちがそだてたサツマイモ販売などの活動を通して、まちづくりに参加するとともに社会を見る目をみがいています。
農地を守る組織
伊野農地保全の会
宍道湖から伊野小学校にかけての谷間に広がる大規模な水田を維持し、農村が持つさまざまな役割を発展させるための組織です。農水省の補助金を得て、用排水路や農道の補修、田んぼ斜面の草刈などを行っています。その成果あって、耕作放棄地がほとんどない島根半島で最も美しい美田だと称賛されています。
上伊野農業再生プロジェクト
小学校から日本海に向かう狭い谷間の水田を維持するとともに、中山間地域の農業が環境や暮らしに果たす役割を維持する組織です。シカやイノシシ対策により農地の維持に成功し、注目を集めています。ホタルが乱舞する里山地域の農道(ホタルロード)の管理にのりだし、ホタルの里の魅力を再発見させることに成功しました。
伊野の食文化
宍道湖、日本海、田んぼ、畑、山と何でもありの伊野地区。
その食材をいかした豊富な食文化が自慢です。
端午の節句を祝う「しぼ」入りチマキ
柏の葉や笹の葉でくるんだチマキを、さらに茅で編んだ容器に入れてゆでます。この茅で編んだ容器を「しぼ」と言います。チマキは「茅巻」と書きますので、昔は防腐作用効果のある茅の葉でまいていたのかもしれません。一度、ゆでた「しぼ入りチマキ」は軒先につるしておき、食べるときにもう一度ゆでて食べます。
ひな祭り ―子どもと一緒にえがもちをつくる―
桃の節句(旧暦)は、えがもちでお祝いします。あんこをくるんだ米粉の生地を半球型の素焼きの陶器(型)に入れて形を作ります。その上を色とりどりの米粉生地を使ってトッピングします。子どもと家族みんなで楽しめる調理です。できあがったもちは椿の葉の上に乗せて、蒸してから食べます。
伊野の食材&伝統食メニュー
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日本海側の地域
- べべご飯・べべ汁
- べべ(ボベまたは嫁の皿とも呼ばれる円錐状の岩にはりついた貝)の炊き込みご飯や汁。
- フグの味噌汁
- フグの身をぶつ切りにしてジャガイモと一緒に煮る。
- ヤマブキの酢漬け
- 日本海からかけあがる斜面に生える春を告げる山菜はヤマブキ。酢漬けは絶品。
- サバの塩から
- 酒の肴やお茶漬けに最高。
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里山地域
- 伊野の新米塩むすび
- 米の美味しさを堪能できる。
- 春の山菜
- わらび、ぜんまい、ふきのとう、つくし、たらのめ、のびるなど。天ぷらや佃煮、酢漬けなどで春の食卓が賑わう。
- 夏・秋の食材
- 里山にいっぱいの栗で、栗おこわや栗の渋皮煮。イチジクや柿もいっぱい。ジャムや干し柿・あわせ柿に加工。
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宍道湖岸の地域
- シジミ汁
- シジミ生産量日本1の宍道湖。汽水湖で育つヤマトシジミの汁は濃厚。
- ハゼの刺身・天ぷら
- 親子で釣りを楽しむ機会と言えばハゼ釣り。釣ったハゼは天ぷらや刺身でめしあがれ。
- 寒ブナ
- フナ独特の風味を堪能するなら刺身とあら汁。やみつきになる。
- スズキ奉書焼
- スズキを和紙で包んで蒸し焼きにします。