地名の由来 ~早く彼に会いたい

733年に完成した「出雲の国風土記」には、伊野の地名の由来について、とてもおもしろいことが書いてあります。
「国引き神話」をご存知ですか?出雲を治める神様が朝鮮半島や北陸地方から陸のかたまりを引っぱってきて島根半島をつくるというお話です。その息子にアカブスマイヌ(伊農)オホスミヒコサワケノミコトという神様がいました。奥様の名前はアメノミカツヒメノミコトと言います。
奥様が伊野を訪ねたとき、「伊農(いぬ)、はや」とおっしゃいました。「伊農(いぬ)」は夫の名前ですから、「あなた、早く会いたい!」「早く迎えに来て!」という意味なのでしょう。それから、伊農の郷(いぬのさと→いののさと)と呼ばれるようになったそうです。

伊努神社

恋人ロード

愛し合う2人のご夫婦神様を祀る神社が向き合って建っています。奥様を祀る神社は伊努(いぬ)神社、旦那様を祀る神社は芦高(あしたか)神社。2つの神社は約300メートルをへだてて向き合っています。夫婦が向き合う神社は全国的にきわめてめずらしいそうです。両神社を結ぶ道を「恋人ロード」として、親しんでもらいたいと思っています。
伊野が誇るのは全長1㎞のホタルロード。めまぐるしく変わるホタルのイルミネーションを通り過ぎればカップル誕生。さらに、子宝を授かりたければ東地合町内と畑町内の子安観音にお願いすれば念願成就まちがいなし。

芦高神社

伊野の神楽

西地合では毎年正月3日に歳徳神をお祀りする行事が各家持ち回りで行われます。餅つきをした後、子どもたちが神楽舞を奉納します。
もうひとつの伝統神楽「伊野神楽」は大人たちが舞うもので、日本酒発祥の地と言われる佐香神社や出雲大社で奉納されます。

西地合子ども神楽

伊野村の成立

江戸時代の伊野は、日本海側の「伊野浦」と「畑浦」、中央部の「上伊野村」、宍道湖寄の「下伊野村」の4地区がそれぞれ独立した行政単位として松江藩によって治められていました。
明治になって、4つの地区が1つになって伊野村が誕生しました(1889 年)。その頃、伊野には伊野上小学校と伊野下小学校の2つの学校がありました。

市町村合併

昭和の大合併のとき、伊野村は松江市と一緒になるか平田市と一緒になるかで、村を2分した激しい議論の末、1960年(昭和35年)、平田市と合併しました。
平成の大合併で、2005年に出雲市と平田市などが合併して新しい出雲市が誕生したので、伊野地区は出雲市の一部となりました。

十膳山から宍道湖を望む